第7回「福島で生きる暮らしの蓮笑庵体験」
2019年3月25日 福島県田村市船引にある「蓮笑庵」を訪れました。郡山駅からバスで約30分、郡山の街中を過ぎ森や湖をこえて到着した「蓮笑庵」は、蓮の沼の先にある古民家。春とは思えないほど風が強く、まだまだ冬の気配を感じさせる寒い日、ゆっくりと入り口までに進むと、「蓮笑庵」のオーナーの渡辺仁子さんが私たちを温かく明るい声で迎えてくれました。
「蓮笑庵」は、民画家渡辺俊明が美の浄土を願ってつくった自然豊かなアトリエ。 何気ないくらしの大切さを見つめなおし、足元から の平和について共に学び、 考え、育み合う場になっ ています。
到着後、まず、工房とアトリエを案内されました。ゆったりとした敷地内に立つ趣のある建物、それぞれの場にマッチした俊名先生の作品や美術工芸品の数々、隅々まで手が行き届いている部屋、そこにいるだけで心が満たされていくようでした。
次に、昼の食事をとるために敷地の奥 にある応接空間に案内していただきま した。参加者で食事をいただく準備を し、飾りつけ用の笹を外に取りに行き、用意 してあった桜の枝とともに皿に工夫しながら盛りつけました。食事は挨拶で始まり、挨拶で終わりました。1回の食事でも、季節感を取り入れながら美しく盛り付け、感謝の気持ちでいただく。そんな当たり前のことを丁寧に行うことは何と気持ちのいいことなのでしょう。そして、共に時間を共有できる仲間たちがいることもありがたいことです。初めて会う参加者同士でも、福島の思い出など話し始めると話が止まりません。
食事が終わると、子どもたちは広い敷地を走り回り、思う存分遊びました。木のブランコ、絵本館、敷地の高低差を楽しみながらの鬼ごっこ。楽しくてしかたがないようです。久しぶりに会えたお友達、初めて会う子どもたち、自然豊かな庭で遊んでいるうちにすぐに打ち解けました。
食事の後、少しの自由時間を 楽しんだのちに、工房で交流会 が開かれました。参加者の自己 紹介の後、渡辺仁子さんから蓮 笑庵の紹介やこれまでの活動や 思いについてお聞きしました。
俊明先生が他界された後、妻の仁子さんは、娘さんや親族たちと協力しながら、「お寺のような場所でありたい」と願ったご主人の意思を引き継ぎ蓮笑庵を守って来られました。どんな人にも自然の中で温かく迎えられる場所が必要だと考え、「天からいただいた使命だ」と思い継続しているそうです。俊明先生が逝ってしまったので敷地が荒れてしまったと言われるのが嫌なので、あの時のままの蓮笑庵でい続けたいとちゃんとお手入れをしているそうです。お話の後は、郡山在住のシンガーによる歌のプレゼントがありました。郡山在住の支援者の方にまたご縁をつないでいただきました。私たちのためにバンドを再結成して歌っていただいた歌。つながろうツアーの定番の曲の他に、震災がきっかけで作った曲なども披露してもらいました。心のこもった歌の力に勇気と元気をいただきました。
福島在住の蓮笑庵さんとご縁で結ばれた私たち。福島を離れ、それぞれが別の家を持っているけれど、「これからも繋がり続けられることを嬉しく思う」と仁子さん。そして、最後に、「いつでも福島のお家と思って訪ねてきてください。来たら、ゴロンと 横になったり、自然と戯 れ絵本を読み、おうちに いるように好きなように 過ごしてください」との 言葉をいただきました。 どんなに離れていても、 ふるさとには、私たちを迎えてくれる場所と人がいる。離れていても、ずっとつながっていれるんだ、、ということをまた確信したふるさとへのツアーでした。
2018年の「ふるさととつながろうツアー」ご参加いただきありがとうございました。ご協力いただいた福島県の皆様、そして、サポートいただいた福島県避難者支援課、ふるさと交流・相談支援事業事務局のみなさまありがとうございました。
また、皆様とふるさとふくしまでお会いできるの を楽しみにしております。