2021年12月28日 第5回ふるさととつながろうツアーを実施しました。今回のツアーは郡山市逢瀬を訪れ、郷土料理や門松作り体験をして、福島の食文化や暮らしを学ぶ目的で開催しました。
あいにく前日に降った雪のせいで、ツアー当日は東海道山陽新幹線が遅延し、京都や滋賀から当日移動する参加者やスタッフが遅れるという思わぬアクシデントがあり、予定より30分遅れて11時に郡山駅に集合して逢瀬に出発しました。バスの中では、恒例の近況報告、ツアー参加の意気込みに加えて、2021年を振り返った感想も話していただきました。
健康診断を受けて健康の有り難みを痛感して、来年はもっとカラダを動かしたいと意気込む人。家のリフォー ムが完成しつつあり新しい家に住むことを心待ちしている人。YouTubeを始めようと考えている人。みんなの手のイベントにほぼ参加できて充実感を感じている人。そして、門松作りや漬物作り体験を楽しみに参加された人。これまでのつながろうツアーで農家さんとの関わりが多く、今回のツアーでも食と関われることが楽しみな人等々、参加者同士互いの現況や考えを知ることでつながりがより深くなるような気がしました。
なんだべ村に到着
30分も立たないうちにバスは逢瀬に到着しました。あたりは雪が積もり、風が吹き付け、いかにも寒い冬の日という印象。目的地のなんだべ村までバスで入れないため、私たちは、道の途中でバスを降りて、なんだべ村まで歩いていきました。寒さのため、道は凍り滑りやすくなっているので、子ども達は手をつなぎ、寒い中、皆で固まって歩いていきました。
皆で一緒に餅をつく
なんだべ村に到着すると、地元の農家の方々が昼食の用意をして待っていてくださいました。「中、入りな」と案内されて、小屋の中に入り、火の周りで暖をとりました。
郡山ふるさと田舎体験協議会の会長の挨拶やリーダーの農家さんの話、地元の協力者の農家のお母さん達の紹介の後、プログラムがスタート。まずは、腹ごなしをするために、餅つきを始めました。蒸したもち米を臼に入れて、力のある男性人が手早く渾身の力を込めて餅をつき、餅がまとまってからは参加者全員でつきました。途中、「会津磐梯山」や「福島県民の歌」を歌いリズムを取りがらの餅つき。地元の農家 さん、農家のお母さん達、そして、福島県を離れて他県に居住する私たち、帰還された参加者、県内在住者、皆んなで、 代わる代わる餅をつく。同郷のよしみで見ず知らずの私たちの心が触れ合う瞬間でした。
外は見渡す限り雪。子ども達は、休むこともなく、外で雪遊びをしていました。寒さも足が冷たくなることも忘れ、ブランコに乗り、駆け回り、思う存分、カラダを動かし続けます。
郷土料理を作り、いただく
餅がつきあがると、全員集合して、手早く餅を丸めました。地元のお母さん達が用意してくれていたキャベツ炒め、潰した豆 腐にピーナッツパウダーを和えた白あえ、そして野菜たっぷりの味噌汁、そこに、餅を入れると、キャベツ餅、豆腐餅、餅入り 味噌汁が出来上がり。いかにんじん、ゆず大根、たまり漬けと一 緒にいただきました。
初めていただいたキャベツ餅は、キャベツの甘さを十分に味わえる美味しさでした。豆腐餅はピーナッツパウダーの香ばしさを感じる甘めのお餅の白あえという感じでした。漬物もよく漬かっていて懐かしい味でした。「お替わりしていいんだがんねー」と言われて、お腹がいっぱいになるまでいただきました。
昼食後は、農家のお母さんの料理教室がスタート。いかにんじんやたまり漬けの作り方を教えていただき、実際にいかにんじんを作りました。料理をしながら地元のお母さん達と話が弾みます。昨年度つながろうツアーで訪れた郡山の鈴木農場の話や郡山ブランド野菜のグループの話をすると、お母さん達のおひとりが郡山ブランド野菜を共に作っていて、キャベツ餅のキャベツは郡山ブランド 野菜の冬柑奈(ふゆかんな)であることがわかりました。「だから甘いんだね」と参加者。点と点がつながり線になり人の輪が繋がっていくことを実感できた瞬間でした。
農業の他、漬物や味噌などの製品を作り販売している農家のお母さん達は、色々なレシピを知っていました。全て頭に入っていて、伺うと、即座に教えてくださり、短い間に、たまり漬け、味噌、白菜の漬物、麹、三五八のレシピを教えていただきました。
交流タイム
料理教室の後は、降雪のため、里山歩きができなかったので、小屋の中で、地元の人たちと交流しながら過ごしました。火を炊いていてもやはり寒く、皆、火の周りに集まり、 温かい飲み物をいただきカラダを温めました。交流しなが ら、なんだべ村について伺いました。―子ども達や多くの人たちに、自然体験や田舎暮らしの体験を通して、五感を磨いてもらおうと思い、自分の敷地を体験の場所として作り上げ、地元の人と一緒になり、田舎暮らし体験プログラムを行なっているなんだべ村のリーダーの石井さん。「百姓は百のことができるから百姓なんだ」と仰る通り、何でもできるスーパーマン。そして、プログラムを応援する地元の農家の方やお母さん、協議会の役員の方々。そんな熱い思いのある方々のおかげで、スローライフ体験ができるこ とを嬉しく思いました。地元の方々に、田舎暮らしのこと、火起こしなどの生活の知恵、そして自然との関わり方などについても教えていただき為になりました。
門松作りに挑戦
一休みの後、ビニールハウスに移動して、正月を飾る門松作りをしました。敷地の周りで石井さんが事前に採取してくださった松竹梅、南天などを使用しました。作り方の模範を見せていただき各自で作業を始めました。竹の入れ物を選び、周りを藁で包み縛る。竹を3本選び、サイズを合わせてノコギリでカット。入れ物に3本の竹を入れて周りにおがくずを入れて固定。そこに、 松や梅、南天を刺して整え、藁を適度な長さにカットして完成。各自オリジナリティ溢れる門松で、正月を迎えるのに相応しいお土産が出来上がりました。
振り返り
日が暮れてあたりが暗くなり、最後は記念撮影をして終 了。学びが多く充足しているせいか1日が長く感じられまし た。1日で貴重な体験ができました。今シーズン初の寒い日 に皆で餅つきをしたこと、門松を作ったこと、郷土料理を作りいただいたこと、雪と風の中を皆で歩いたこと、子ども達は雪の中で思いっきり足が冷たくなるまで遊んだこと、きっと参加者の忘れられない思い出になったことと思います。郷土に根付き、昔からの暮らしを受け継ぎ、自然と共に暮らしている人たち。私たちは、福島の地元の方々と関わりがながら、生きる術を学び、糧にしていきたいと思いました。
帰りのバスの中では、感想を述べあいました。郷土料理作り、門松作り、そして、地元の方との交流がよかった、との声が多くありました。「ここはほたるが見えんだよ。ホタルを見にまたおいで」と言われた言葉が嬉しくてか、ほたるの時期にまた訪れたいとの声も上がりました。今から再会が楽しみです郷土に根付き、昔からの暮らしを受け継ぎ、自然と共に暮らしている人たち。私たちは、福島の地元の方々と関わりがながら、生きる術を学び、糧にしていきたいと思いました。
参加者の感想
「体を使って考え、何かを作りあげる大変さの中に、そして地元のお母さん達の優しさに心豊かになれました。私の今年NO1」
「同じ郡山市でも自然に恵まれ自然の厳しさを感じました。そして人の温かさも感じることができました。また一 つ福島県の素晴らしさを見つけることができました。」「逢瀬の方々にとても良くしてももらった。一緒に餅つきをしたり、餅をちぎったり、食事の用意をしたり、門松作りの時は竹の切り方のコツやバランスの取り方などいろいろ教えてもらった。ツアーの内容が良い。福島で生まれ育ったが知らなった事や初めて体験することがあり、また参加したいです。」