2022年3月26日、今年度最後の交流バスツアーを実施しました。3月21日まで京都府でまん延防止等重点措置が実施されていたために、1月末の餅つき交流会以降、交流会や交流イベントは中止せざるをえない状況でした。措置解除後、予定していたふるさととつながろうツアーが福島沖地震により中止になったことから、淡路島への交流バスツアーを急遽開催することにいたしました。
雨の中のツアー
8時に京都駅集合。途中で、大阪からの参加者をピックアップする予定で出発。久しぶりの再会を皆で喜びました。防風雨で、雨は夜には回復するという予報。1日の行程を皆で話し合いながら、バス時間を過ごしました。幸い道路は空いていて、出発から約2時間後、海がバスの正面に広がり、明石海峡大橋に到着。車窓から見える海。「海だー!」と歓声を上げました。 そこから花さじきへ。到着すると、雨と強風で、観光客もほとんどいない様子。しかし、せっかく来たのだからと、思い思いに鑑賞することにしました。菜の花畑で写真を撮ると、風が強く、室内に戻ることに。中には、小高い丘の上まで歩き、他の花々も鑑賞された方や2階のカフェで上からゆっくり鑑賞された方もおられました。全館貸切状態のように鑑賞できたものの、雨で全て見学できなかったのが残念でまた今度訪れようと話しながら花さじきを後にしました。
おもてなしのたこせんべい工場
次に訪れたのは島の中央部にある洲本の海鮮レストラン。そこで淡路の魚介を堪能しました。ランチ後は、産直市場とたこせんべい工場「たこせんべいの里」に立ち寄りました。そこでは、たくさんの種類のせんべいが販売されていて、その全てが試食できるとあって、試食してみることにしました。まず驚いたのは、試食する機械。手で触らなくてもいいようにボタンを開けるとせんべいの入った箱が自動的に開くシステム。そしてせんべいを選び試食コーナーで試食。コロナ禍で工夫しながら営業している工場の工夫に感動を覚えました。
試食できるせんべいの数30余り。玉ねぎ、ごぼう、ひまわりの種、ごま、たこ、いか、えび、イカ墨などが入ったせんべい。梅、わさび、赤しそ、ガーリックマヨネ
ーズ、みりん、ソース、カレー、唐辛子、バジル・トマト味のせんべい。チョコレートやキャラメルがコーティングされたせんべい。試食をして自分の好みのせんべいを選べるのが嬉しいだけでなく、ドリンク無料サービスもあり、貸切バスで訪れた私たちにせんべいのプレゼントを下さったりと、そのおもてなしに心打たれました。
「のじまスコーラ」へ
一日中雨と強風が続く淡路島。北から南に伸びる高速道路も島の中央あたりに位置する洲本から南は通行止め。そこで、洲本からまた北に戻りながら、「のじまスコーラ」を訪れることにしました。「のじまスコーラ」は、阪神淡路大震災の震源地、野島断層の近くに位置し、元淡路市立野島小学校を活用したおしゃれな複合施設。カフェ、マルシェ、ベーカリー、レストラン、ミニ動物園、アート体験ができるコーナー等があり、盆踊りや料理教室等の開催を通じて、地元住民も包括しながら地域活性化のシンボル拠点を目指しているスコーラ(イタリア語で学校)でした。
スコーラは赤いゼラニウムで囲まれ、廃校がイタリアン風の建物に見事に変身していました。学校の面影を感じさせながらも、おしゃれな雰囲気。参加者はマルシェでショッピング、動物園で動物とのふれあい、3階の教室を使用したスペースでアート体験などを楽しみました。中でも、目に止まったのは、生徒たちの残した彫刻作品の横に掲示されていた 2階で営業している“予約の取れない”イタリアンレストラン「アル・ケッチャーノ」のオーナーシェフに関しての10年前の新聞記事でした。
淡路で触れたふるさと
世界の料理人1000人に選出された奥田政行シェフは「素材の魔術師」と称されるほど食材を大切に味を引き出す料理人と言われています。山形県鶴岡市出身で、山形県から「食の都庄内」の親善大使を委託され、これまで、国内、海外で料理コンテストで多数受賞。活動を評価され表彰されてこられたシェフ。その奥田シェフが、東日本大震災の際、自ら被災地支援を行なっていたことを記した記事でした。
被災地で40箇所以上の炊き出し。経営する東京のレストランで川俣シャモや花巻のホロホロ鳥など安全性を確認しながら食材として利用。福島県出身の12名の料理人の卵を雇用。調理法や店の経営の仕方や食材の選び方を指導。三陸町のかき養殖業や福島県各地で除染に関わる静岡大学の支援など。そして、原発事故の影響に苦しむ磐梯熱海温泉旅館組合と郡山農業青年会議所のプロジェクトにアドバイザーとして関わるなど行ってこられたそうです。
支援活動の中で、奥田シェフがこだわり、唱えた地場食材を生かす意義。それは、自らの経験の中で見出したものでした。遡ると、2002年に山形県の農作物が出荷困難になった時、生産者を訪ね歩き、地場産の食材の魅力や新しい料理法を紹介し、結果として、庄内の生産者を盛り上げ、山形の農業振興に貢献してきた奥田シェフ。その実績をもとに被災地の現状に照らし合わせながら、「闇から抜け出せる」と信じ被災地の生産者を応援し続けました。
淡路島で、ふるさと福島とのつながりを感じた瞬間でした。
温室というより五感で楽しめる楽園
「のじまスコーラ」を後にし、最終目的地の「淡路夢舞台公苑温室 あわじクリーン館」を訪問しました。ここは、「淡路島国営明石海峡公園」に隣接する施設で、床面積6900㎡で日本第2の規模の温室でした。館内は、共生文化ゾーンと花と緑の暮らしゾーンに分かれていて、芸術と緑化を組み合わせた新しいタイプの展示スペースでした。
現在、シンガポールから届いた蘭の特別展示開催中。色とりどりの蘭の花が、南国情緒豊かにアレンジされ、蘭の花を五感で楽しむことができました。他には、サボテン類、ユーフォルビア類などの多肉植物、熱帯や亜熱帯に生息する植物、生活に息づく植物、そして、化石でしか残っていないジュラシックツリー、成長する植物で作られた「ガーデンキャスル」、日陰や室内等の低照度で育つ植物等、温室内を巡りながら様々な植物を鑑賞しました。訪れた見学者からは、「キレイ!」「素晴らしい」「来てよかった」「癒される」との声が漏れました。
話題の幻の植物「プヤ・チレンス」はまだ開花前。高い花芽だけは見ることができました。暮らしの緑コーナーでは、椿の苔玉、花器に見事に生けられた四季の草木、ししおどしを見て、しばし和に浸りました。施設の外に見えた桜にも魅了されました。安藤忠雄氏の建築の夢舞台の施設デザインにも目を配りながら温室見学はあっという間に終了。
京都駅へ
ツアーの行程を終えバスに乗り込みました。風は止みましたが、雨はしきりに降り続いていました。海を背にしながら、淡路島を後にして一路京都へ。車中では、1日を振り返りながら、互いに感想を述べあいました。
コロナ禍で外出する機会が減り、予定していた夕食会やつながろうツアーが中止になる中で開催された淡路島ツアー。そこで、久しぶりに仲間等に再会できたいこと、開放感溢れる場所で日常の喧騒から離れて静かな時間が過ごせたこと、仲間とのふれあいを通じてバッテリーチャージができたことなど、短い時間ながらたくさんのプラスを味わいました。
今年度最後に感じたこと
これで2021年度の活動は終了しました。たくさんの笑顔とありがとうをいただいたフィナーレでした。2017年の秋に訪れ、5年振りの再訪でしたが、「また来年度訪れたい」と参加者の方からリクエストをいただいた淡路島。次に訪れるまでしばしのお別れです。
ふるさとからの距離880キロ。淡路島で見つけたふるさととのつながり。後日調べて見ると、奥田シェフは昨年度つながろツアーで訪れた郡山ブランド野菜の生産者とともに郡山ブランド野菜レストランをプロデュースされていたこともわかり、ふるさととのつながりを深く感じました。
点と点がつながり、大きな線になり、北から南まで伸びるようなつながり。つながる人と人との輪。「これからもずっとつながっていきたい」 そんな事を年度末に思いました。
最後に、急なプランにも関わらず、ご協力いただいたバス手配会社、バス会社、淡路島観光協会、そして地元の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
参加者の感想
「今日は美しい花々、海、自然に触れ、楽しい心安まる1日を過ごすことができました。ありがとうございました。」
「気の置けない仲間と久しぶりに会えてとても嬉しかったです。話をしたり、景色を共有したり、居心地の良い空間んでありました」
「久しぶりに大好きな仲間達と再会できて、とても幸せだった。日々忙しく人間らしくコミュニケーションが取りずらい中、心を通わせ交流できることにとても嬉しい気持ち、感謝の気持ちで満たされます。ありがとうございました」
「親戚付き合いのような温かい交流ができ、また頑張ろうと思いました。次に会えた時に、良い報告をしたいです」