も〜ぉ い〜ぃ かぁ〜い?4
とみおかdeコットン♪
福島県は浜通り、富岡町からこんにちは。この季節、天気が良い朝はコットン(綿)の畑「はばたけ」へ行って、綿の収穫をします。というお寺の耕作放棄地を無償でお借りして、移住者、帰還者、避難先からの通いの方、廃炉関係者、その他変わり者が好き勝手集まって、交流できる場所 です。

にくったらしいブヨに刺されることはありますが、、、浜通りでは農業や地域の再生を目指して、油脂植物を育てるいろんなプロジェクトが頑張っています。菜の花、オリーブ、唐辛子、ひまわり、そしてコットンなど。うちでは「とみおかdeコットン」というプロジェクト名で、綿実油ではなくコットンそのものを収穫するために 2019年からはじめて、今年ようやく400㎡ちょっとの広さで栽培しています。収穫は数kgにも満たない量ですが、それでも種植え、草取り、虫取り、摘心、支柱おこしなどやることだらけで大変です。今、収穫の秋を迎えて、畑でする芋煮会はほっとします。収穫したコットンで、手作りのコースターや布おむつを作ってみたいのですが、まだ技術や設備、体制がそこまで整っていません。10年がかりののんきなプロジェクトです。
教訓の味がする東北の農作物とお酒
浜通りにこれだけたくさんの農業系プロジェクトが生 れたのは、やはり原子力災害による放射能の影響ぬきに しては語れません。震災当時、とにかく測定体制を整え、「植えなければ何もわからない」と作付けをして、可能な限りデータを収集してくださった農家さん、それを支えた研究者・支援者の人々には今でも深く敬意を表します。未知と無知とが刻々と押しよせる当時、「油なら水に溶けるセシウムは移行しない、よし油脂植物を育てよう」と考えた人たちがいたのも必然でした。しかし5年、10年と経つ中で、多くのプロジェクトが役割を終えて終了していきました。終了したプロジェクトに感謝ししつつ、今でも続いているプロジェクトにはさらに敬意を表します。今、東北の農作物やお酒を美味しくいただけるのは、あの時ふんばって、「最大限の避難をしつつ、最大限の再生を目指す」と放射線測定に取り組んだお百姓さんたちの汗と涙があってこそだよねー、としみじみ思うのです。それは、ほかの地域でも起こったかもしれない、これから起こるかもしれない教訓だと思うのです。
「ふく・わた」プロジェクト始動
そんなわけで2017年に避難解除が始まった富岡町 で、それまで支援側・消費者側にいた僕ですが、「畑を出来る!」という念願が叶いまして、コットン(とわずかな野菜)を育て始めました。なんちゃって有機農家一年生の誕生です。ホテルの仕事をしながら、ふたば地域サポートセ ンターふたすけのボランティアをしながらの兼業農家 で、おまけに2歳児育児中ということで、まったく理想には程遠いですが、それでも未来に種を撒く暮らしができ るのは、ほっとします。二歳ながら娘・郷(きょう)も、ふわふわのコットンを素手で触り、種を採ろうと一生懸命です。富岡だと畑の線量は0.15から場所によって0.23μ SV/hほど。しかし公園の整備もまだ追いつかない地域 で、青空の下で虫や緑に囲まれて子育てできるのは何とも有難い限りです。もともとは2012年、いわき市のNPO ザ・ピープルさんが始めたのが「ふくしまオーガニック コットンプロジェクト」。それがこの秋、一般社団法人として再始動。愛称は「ふく・わた」。参加すると浜通りを訪 れるバスツアーやオンライン交流会のお誘いが来ます。 今回はそんな浜通りの油脂植物を使った地域再生プロ ジェクトをいくつか紹介します♪ぜひご参加ください。
参考リンク
ふくしまオーガニックコットンプロジェクト(ふく・わた) 有機農業で育てる綿でタオルやTシャツをブランド化。浜通りの新し い産業を目指します。 https://www.fukushima.organic/
南相馬農地再生協議会(菜種油の「油菜ちゃん」) 一面の菜の花畑で交流会。絞った油は食用油やドレッシングに。 https://m.facebook.com/minamisomanouchisaisei/?_rdr
小高工房とうがらしプロジェクト(「小高一味」) 南相馬市小高区の名物工房では激辛とうがらしのラインナップ多数。 https://odakachilli.thebase.in
いわきオリーブプロジェクト 平和のシンボル、オリーブを育ててパスタやお茶、アクセサリーに。 https://iwaki-olive.com/
ふたば地域サポートセンター ふたすけ
所長 鈴木 亮
1972年 鎌倉市生まれ 福島県双葉郡富岡町在住