本多先生の「子育て&自分育て」コラム3
今年の福島の夏は例年よりも暑い日が続きました が,京都の夏はいかがでしたか。
8月初旬,福島市では盛大に「わらじ祭り」が開催されました。久しぶりにお祭り会場に足を運んだのですが,その光景に驚かされました。
福島にこれほど多くの人が住んでいたのかと思うほど,道路は老若男女で埋め尽くされていました。最近,子どもの姿を見ることが少なくなったような気がしていたのですが,たくさんの子どもや若者が素敵な浴衣姿でお祭りを楽しんでいました。
この光景が福島の日常かというとそうではないのでしょうが,このような時間を過ごすこともできつつあるということでしょうか。
そのような非日常的な時間を過ごしていると,「何やってんの。だから言ったでしょう。言ってもわかんないんだから…。」と言う,女性の怒鳴り声が聞こえてきました。はっとして声のする方を振り返ってみると,可愛い浴衣を着た女の子がお母さんにかき氷のカップを取り上げられていました。かき氷をこぼして浴衣を汚してしまった女の子は泣きそうです。
お祭りに合わせて素敵な浴衣を購入し,着付けをし,髪の毛も可愛く結んで出かけてきたのに娘が浴衣を汚してしまい,お母さんは少し感情的になってしまったのでしょう。母親としてはよくあることです。
私も息子たちが小さい頃,何度も同じようなことをしていました。自分の感情を抑えられなくなり,その矛先を息子に向けていたのかもしれません。自分に気持ちの余裕が無い時ほど,子どもを怒ることがたくさんあったような気がします。
ところで、「怒る」と「叱る」の違いって知っていましたか?
「怒る」とは,相手が自分に悪い影響を与えたり,自分の思い通りに動いてくれなかったりした時に,自分の感情を相手にぶつける行為です。
一方「叱る」とは,相手の成長を願ってよりよい方法を教えるための行為です。
私たちは子どもを注意する時,つい,「~の時もそうだったじゃない」と,過去のことを引きずりだしたり,「さっきも~したでしょう」と,叱る範囲を広げてみたり,「何やってもだめなんだから」と,子どもを全否定したりしてしまいがちです。
そのような注意の仕方をすると,子どもは自分に対する評価点を下げてしまいます。何かを修正しようとするのではなく,ただ,怒られたことだけが記憶に残ってしまい,「お母さんは僕が嫌いなんだ」と勘違いしたり「やってもだめだからやらないほうがまし」と,意欲を低下させたりしてしまいます。つまり,注意することによってネガティブな気持ちを増幅させてしまうのです。
ではポジティブな注意の仕方とはどのような方法でしょう。3つのポイントがあります。
- 「今の言い方は嫌な気持ちになるよ」と言うように,今のことだけを叱
- 「歩きながら食べるからこぼれたんだね」と言うように,目の前で起きたことだけを叱る
- 「歩きながら食べるのは行儀の悪いことだよ。他の人迷惑をかけるかもしれないよね」と言うように,何が間違っていたのかが伝わるように叱る
つまり,今,目の前で起きたことについて,修正する方法を伝えることが大切です。叱ったことがその後にも応用することができれば,その子の力が一つ伸びた事にもなります。そのような注意の仕方を目指してみましょう。そのためには,お母さんに心の余裕があることが大切です。
感情的に子どもを怒鳴ることが少なくなるよう,お母さん自身が楽しい時間を過ごし,笑顔でいられる時間を延ばす努力をしてみるといいかもしれません。
次のお祭りはお子さんと一緒に笑顔で出かけられるといいですね。