11月29日京都市内の「紅葉の庭園巡りツアー」を実施しました。ナビゲーターは京都市内で造園業「庭大工庭司」を運営されている皆川代表。震災直後、所属の「一歩の会」の活動として京都在住の避難移住者のシニアの方を対象に行なっていた紅葉狩りツアー。その流れを受けつぎ、年に一度ナビゲーターとして京都の庭園紹介をいただいております。紅葉の見頃は日によって変わるため、開催日に紅葉の美しい庭園に連れて行っていただきました。
まず訪れたのは、南山寺の近くにある「無鄰菴」。ここは明治27年(1894)~29(1896)年に造営された明治・大正時代の政治家山縣有朋の別荘です。庭園と母屋・洋館・茶室の3つの建物によって構成されており、七代目小川治兵衛により作庭された近代日本庭園の傑作。里山の風景や小川そのもののような躍動的な流れをもつ自然主義的な新しい庭園観により造営されたお庭です。昭和26 年(1951年)には国の名勝に指定されています。
特別な計らいで、私たちは、まず母屋の2階の和室に通されまた。日の差し込む暖かい部屋からは庭が一望に見渡せました。椅子に腰掛け、飲み物が来るまで庭を見ようかと出かけようとすると、皆川さんから、このような席では、まず室内に入ってから、主人が飲み物を出すまで待ち、室内や庭を窓から眺め、ゆっくりと味わいながら、会話を楽しむ。そして、落ち着いてから、窓からは見えない景色を見にいこうと五感を掻き立てて庭に出るのが流れだと教えていただきました。
そこでゆっくりと室内で過ごし、飲み物の抹茶と和菓子をいただいてから庭に足を運びました。お庭では、皆川さんの案内で、庭に生えている植物や礎石や石、灯篭などについて、庭の作りに関して丁寧に教えていただきました。落水について皆川さんの京都の庭師としての見解も伺い庭園造りの奥深さを知りました。洋館の2階には、伊藤博文らと山縣有朋が日露開戦前の外交方針について話し合った「無鄰菴会議」に使われた部屋があり、当日の様子を想像しながらレトロな気分に浸り見学しました。
次に訪れのが浄土宗の大本山寺院の一つのくろ谷の「金戒巧妙寺」。池泉回遊式庭園へ。御影堂の『紫雲の庭」は法然上人の人生と浄土宗の広がりを枯山水で表現しているそうです。そして、紫雲の庭北庭の「ご縁の道」。「ご縁の道」は、法然上人の唱えた浄土宗の基本的な考え方の一つである「ご縁」を表現する庭として作庭。2本の道がつながって1本の道となる構成は、2人それぞれの人生と出会い、そして共に生きていくという、ご縁のあり様が表現されているそうです。
椅子に腰掛け庭園の美しさに浸る大人の方、落ち葉シャワーを掛け合いながら楽しむ子どもたち。参加者皆が庭園の美しさと季節感溢れる庭の中で心豊かな時間を味わうことができました。最後に、長い階段を登り会津藩殉難者墓地(会津墓地)を参拝し、京都と会津の接点にふれ会津とのつながりをまた感じました。
最後に訪れたのが上京区の妙顕寺。尾形光琳の屏風絵を元に作庭された「光琳曲水の庭」をはじめとして、坪庭など四つもの庭園がありました。特にメインの枯山水庭園の「四海唱導の庭」は、勅使門を中心に奥行きをもたせ、コントラスト美しく、上品な佇まいを見せてくれました。円窓から眺める庭園に癒され、長椅子に座ってゆっくりとその風景を楽しみました。
普段の生活に追われ、なかなか文化に触れることもなく暮らしていますが、文化に触れることで先人の知恵や哲学を学び心豊かな気持ちになれることがわかりました。
今を共に生きる仲間と変わらず私たちを支えてくださる京都の方々の支援に感謝しながら、学びを深めた紅葉狩りツアーでした。ご協力くださいました関係者の皆様ありがとうございました。