Beautiful Wolrd
外は秋の風。季節は確実に移り変わってますね。思えば 今年の夏は、猛暑の中で、珍しく長雨の印象もありました。秋の天気をあらわす言葉で「秋入梅」(あきついり)とい う言い方があります。まるで梅雨の時期のように降る長 い雨を指して言います。また植物の名前を使って、「スス キ梅雨」と言ったりもします。これは単純に秋、ススキの 時期だからなんだそうです。面白いですね。
他に「秋霖」(しゅうりん)などの呼び名もありますね。 でも何となくよく耳にしてるのは単純に「秋雨」(あきさ め)とか、「秋の長雨」という言葉でしょうかね。一つのことも、言葉の表現が実はいろいろある、という ことを知りますね。
初秋の頃、9月頃に降る雨。例年、この頃は台風も含め て、雨の天気が多い時期です。この雨とともに、秋がだん だん深まっていきます。9月はお彼岸もあります。そして、この秋の長雨が続く 頃にかかって、「十五夜」がきます。旧暦の八月十五日のお月さまのこと。(今年2021年は、9月 21日)いわゆる「中秋の名月」ですね。一年で最も美しいとされ ている月を鑑賞する日です。その美しい月を愛でながら、「収穫 などに感謝する」という日本人の大切な心がそこに在ります。先ほど「ススキ梅雨」という言葉の話をしましたが、お 月見といえば、「ススキ」をお供えしますね。秋の七草のひ とつでもあります。このお供えするススキ、稲穂に似てい ることから、用いるようになったのだと言われています。 そして、そこに月見団子も添えます。
何とも言えない風流な習慣だとあらためて思いますね。私たちが暮らす現代社会は、特に都会の方では、深夜に なっても、街の灯りが当たり前のように付いていて、夜中に も関わらず人の往来もある、というのが普通の光景でした。しかし、今私たちを取り巻く環境は、大勢で飲み食いす るという機会も控える、街も夜遅くまで営業している飲 食店も圧倒的に少なくなり、 仕事帰りの外出、外食をし なくなった分、家で過ごす、家で食事をするに変わり、い わゆる家中心のライフスタイルに、以前よりも家で過ご す時間が増えたという人が多いと思います。
生活する中で、不自由さをどうしても感じてしまいが ちですが、人間にはありがたいことに想像力と知恵があ ります。家で楽しむ時間を創造する。―大事ですよね。こんな時だからこそ、静かにのんびり。今までは、外で 忙しくて十五夜も見逃していたという日々もあったかも しれません。
一年で一番美しく月が見える、というこの時期。家で空 にぽっかり浮かぶまぁ~るい月を見て過ごすのもとって もよいものではないでしょうか。月の満ち欠けの周期(新月から満月)は約15日ほど、と 必ずしも一定ではないので、十五夜と満月の日は、例年1 ~2日程度ズレることになります。つまり十五夜とは、ほ ぼ満月に近いけど、満月ではないことも多いのです。 ところが今年は、そこが一致して十五夜が満月なんですね。そして、もしかしてこのコラムが届くときは、十五夜を 経過してるかもしれませんが、でも、大丈夫です!秋はと にかく、通じて月がとてもキレイに見える季節です。十五夜と合わせて十三夜、というものもあります。今年2021年の十三夜は、10月18日です。十五夜に次 いで美しい月だと言われていて、中秋の名月の十五夜か ら、約1ヶ月後に、やってきます。十三夜は満月に少し欠 ける月になります。
そして十五夜と同じように、十三夜も毎年、違う日に なってくるわけです。実は十五夜と対をなすと言われ、こ の2つを合わせて、「ニ夜の月」と呼びます。 二つの月を合わせて見た方が縁起がいいということ で、昔は十五夜と十三夜を同じ庭で見る習慣もあったそ うですよ。十三夜も同じようにお供えしますね。栗の収穫時期でもあ ることから「栗名月」とも呼ばれているんですね。この頃は、10 月は秋晴れと言われる季節。十三夜の頃は天気も安定してき て、いよいよ美しい月が見られるようになってきます。十五夜よ り十三夜の月の方が出会える確率は高く、「中秋の名月は、十 年に九年は見えず」という言葉があるほどです。秋雨の影響が あって十五夜の月は見えにくいとよく言われるからです。
一年一年、天候で月の見え方も違うと思うと、感慨深く、 まして雨の影響でなかなか見えにくいという十五夜の月、 中秋の名月に運良く出会えた年はきっと嬉しくなりますね。でも、たとえ見えなくても、雲に隠れていたとしても、 月は在るんですね。
さて今年はどうでしょうか。 収穫の喜びと感謝を込めて月を見上げて秋を楽しみま しょう。
サリー
ラジオパーソナリティ・朗読家・司会・ボイスレッスンコーチ
FMおとくに862 「サリーのコトバのチカラでグッドモーニング」担当