かもめ舎を訪れて
須賀川駅から南に約2キロ。大通りからしばらく走り、住宅街の細い道を歩いて行くと古民家カフェかもめ舎がありました。赤煉瓦の外壁の中には大きな庭が広がり、奥には日本家屋が堂々と建っています。玄関の扉を開けると、美味しいパンの焼く匂いとコーヒーの匂い。休日ということもあり、店は観光客で賑わっていました。まず、目に入ったのが、北欧の食器や雑貨、手作りの子供服や北欧の古着。北欧テイスト好きにはたまらないセレクション。
カフェのスタッフに案内されて2階に上がると、窓から先ほど通ってきた庭とのどかな風景が目に飛び込んできました。しばらくするとオーナーのIさんが来られ、「あーやっと会えた」と思い、嬉しくなりました。
このカフェを経営するオーナーのIさんには京都で知り合いました。震災後、一人娘を連れて、家族で京都市に自主避難し、一昨年ふるさとの須賀川に戻りました。避難する前はお好み屋を夫婦で経営していたIさん。避難先で、他の仕事に就いていましたが、徐々にカフェをしたいという気持ちが強くなり、須賀川に戻り北欧ビンテージカフェを開きました。以前から北欧好きだったこともあり、食器や服を仕入れに北欧まで自ら足を運びます。お客様のことを第一に考え、全て手作りで、マフィンは注文が入ってから焼きます。マフィンは1日に20個しか焼けないとか。
バターチキンのカレー、イングリッシュマフインのオープンサンド、シフォンケーキ、かき氷など。どれもおしゃれでおいしい。京都のパン教室で覚えたマフィン。京都でカフェ巡りをしながら出会ったコーヒー。京都の避難ママ仲間から好評で作り始めた子供服。Iさんのカフェには、京都での生活が生かされていました。
「京都では、多くの方々に大変お世話になり、本当に感謝しています。ただ、支援されていたことでいつも肩身が狭く、こちらに帰ってきて、やっと楽になりました。」とIさん。カフェのスタッフに感想を聞くと「近くに働ける場所ができて嬉しい。とても働きやすく、カフェに来るのがとても楽しいんです」と。厨房では、旦那さんが生き生きしながらコーヒーを入れていました。
須賀川の古民家のカフェ。ここを訪れるお客さんがIさんの避難生活を知るすべもないけれど、Iさんの持ち帰った京都はこのカフェに生きていて、福島と京都を今もつないでいる。
かもめ舎 北欧ビンテージカフェ
営業時間 11-18 /定休日 水曜日
住所 福島県須賀川市大町403-1
電話 0248-94-4766