2020年1月4日、私たちは、東和町の有機農家の菅野正寿さんの運営する農家民宿「遊雲の里ファーム」にお邪魔しました。福島駅からバスで約1時間。里山と田園風景が広がり、懐かしさがこみ上げてきます。東和町で過ごすお正月は今年で3年目。民宿からいつものように変わらぬ菅野さんが出迎えてくれて、まるで、我が家に帰ってきたようでした。
到着後、庭に出て、餅つきをしました。3歳の子どもから85歳の年配者まで、県外・県内居住者、避難者・支援者、全員が餅をつくのがルール。小さい杵、大きな杵、回数も、自分の力に合わせて選び、みんなで力を合わせて、もち米を餅にします。合いの手を入れるのは、地元の草鞋職人の85歳の大内三郎さん。「よいしょ」「上手」「腰が入っている」など、掛け声をかけながら、あっという間に、餅の出来上がり。
つきたての餅は、水をつけて手早く丸めます。丸めて、餡子、青畑きな粉、納豆とからめ、具たくさんのすまし汁の中に餅を入れてお雑煮に。
テーブルには、サツマイモのサラダ、福島の郷土料理のひきな炒り、青豆数の子、たくあんが並び、お餅と一緒に美味しくいただきました。
餅をいただいた後は、浪江から現在は二本松に避難されている原田さんのお話を伺いました。原田さんは長年続いた時計屋の主人でした。震災後、避難区域になった故郷を離れ、避難生活を強いられ、現在は二本松に居を移し時計店を続けています。同時にあちこちに散らばった浪江の避難者の世話をし続けています。その原田さんから震災当時の話や避難生活について、現在の浪江の状況や今後のビジョンについて伺いました。
外では、竹馬遊び、竹とんぼ、室内では、ふくしまオーガニックコットンプロジェクトに関わっている藤原さんの指導のもとで、綿取り体験、綿人形作りもしました。
最後に、参加者全員で今年の抱負を語り合いました。二本松在住の85歳の大内さんは、「JICAを通じて訪れる外国人とのふれあいを大切にしながら世界につながっていきたい」と。綿を育て糸にして服を作る藤原さんは、今後、「羊を育てて自家製ウールを使ったものづくりもしてみたい」と。そして、他の参加者からは、健康で暮らすことや就活など、様々な抱負が語られました。中には、「「つながろうツアー」になるべく参加すること」と言ってくださる参加者の方もおられました(主催者としては嬉しい限りです。ありがとうございます)。
恒例となりつつある菅野さんの農家民宿で過ごすお正月。年の初めに、福島県に居住する地元の人や参加者同士の絆を深め、今年の抱負や夢を語り合うことがそれぞれのために意味のあることだと思います。これから一年、私達がどこにいようとも、ふるさと「福島」が私達の心の羅針盤になりきっと「今」をそして「これから」を指し示してくれることでしょう。
それぞれの住む場所で幸多い年を送ることができるようにそしてこのつながりがこれからも続きますようにと、心から祈りながら別れました。また来年も皆で会えますように。