11月20日、「持続 可能な暮らし」をテーマに、フォレストパークあだたらにて、ふるさととつながろうツアーを実施しまし た。昨年度、災害対応キャンプを担当してくださったスタッフの遠藤さんと 1年ぶりに再会できるのがとても楽しみでした。福島駅に集合して、バスで約1時間、あだたらを目指して南下。 車内では恒例の近況報告をしながら、車窓から目に飛びこんでくる吾妻山や安達太良山の姿を楽しみました。
フォレストパークで2名のガイドさんと合流。森林館に移動して、「持続可能な社会」をテーマに座学からスタートしました。「持続可能な社会」の目標は様々挙げられていますが、今回は「陸の豊かさを守ろう」にフォーカスし、森づくりについて考えました。
私たちの暮らしを助け、災害から守り、癒しを与え、そして暮らしの中で使う木の製品を生み出してくれている森林には、本当にたくさんの役割があります。「生物多様性保全」「地球環境保全」「土砂災害防止/土壌保全」「水源涵養」「快適環境形成」「保健・レクリエーション」「文化」 「物質生産」。私たちは、「森に触れ」「木を使い」「森を支え」 「森と暮らす」ことを通じて森林と関わっています。
森を守るためには、下刈りや間伐などの手入れをして整備することや、植樹をして若い木を育てていくこと、そして森を活用していくことが、必要なのだそうです。現在、日本では森林の整備が不十分なため荒廃が進んでいるので補助金を出して整備作業を進めているそうです。
座学の後は森林 探索前の準備として、ゲームでカラダをほぐして、熊に遭遇した時の注意事項等を伺いました。高価な熊よけのスプレーも見せていただきました。
森林館を出ると、森につながる道があり、私たちは、ガイドさんを先頭に、森の中に入っていきました。木の匂いをカラダの奥まで吸い込み次第に心が穏やかになるのを感じました。途中、立ち止まり、 お話を聞いたり、植物に触ったり、木の実を採っていただいたり、五感をフルに活用しながら歩きました。
ガイドさんからは、植物のこと、木々のこと、森に関する様々なことを伺いました。7回焼いても燃えないと言われているななかまどの赤い実のこと。小正月の団子刺しの木、ミズキ。国蝶おおむらさきが唯一卵を産むエノキ。毒性のある果肉のあるエゴノキの実を食べ、糞を排出して種を撒いてくれる鳥ヤマガラ。そしてうるしの木探し。
福島の復興を願って植樹された福島県59市町村の「花の森」と「樹の森」や昨年植樹された落葉樹の森も見学しました。下 刈りされた森とされていない森を見て、下刈りされた森では明るさが確保され樹木が問題なく成長できることを見て確かめることもできました。
森歩きの最後に、ノコギリを使って丸太切りと道具を使って火起こしにも挑戦しました。チェーンソーでの丸太切りを予想していた参加者、ノコギリで切り落とすのは大変らしく、「大変だ~」「しんどい!」と叫びながら何とか切り落とすことができました。 火付けは思いの他、大人気。大人から子どもたちまで挑戦。 やっと火がついてアクリルの糸がぼっと一気に燃えるの がたまらないらしく多くが何度もトライしていました。
森林探索が終わり、ロビーで少しくつろいでから箸作りをしました。電動の道具を使わず、ナイフと紙やすりのみで完成させるmy箸。1時間余り、各自がナイフと格闘しながら、木を削り、思い思いの箸を描きながら製作活動に勤しみました。次第に集中して無心状態になり「昨年の座禅体験みたいだ」と感想を述べる参加者も。時間はあっという間に過ぎて火が暮れる頃に終了。完成したmy箸を持ち記念写真撮影後、終了。
お世話になったガイドさんとコーディネートして下さった遠藤さんに見送っていただき、フォレストパー クを離れました。夕日が最後の輝きを放ちながら暮れていく安達太良山を後にして、福島駅まで向かいました。
バスの中で は、1日の感想を述べ合いました。初めてきた安達太良山に感動を覚えた人、箸作りが楽しかったもしくはキツかったと話す人、my箸をうちで完成させておせちの寄せ箸にしたいと意気込む人、福島の自然の素晴らしさに魅了されて福島でまた暮らしたいと考えた人。参加したそれぞれにとってスペシャルな福島の思い出を作ることができました。
今回のツアーでは、森林に関して持続可能な社会の観点から学び、自然と触れあい、木を使ってものづくりをしました。図らずとも、8月に訪れた只見のツアーとテーマがリンクすることがあり、更に知識を広げることができました。地域が違っていても、教えていただいたことは同じで、「森を守ることは、森に手をかけて、活用していくことだ」ということ。
県の面積の7割が森林である福島県。震災後、原発事故の影響で、林業が数年落ち込み、素材生産量、林業産出額、林業就労者数の点では震災前に戻ったにも関わらず、森林整備が進まず森林の荒廃が進んでいるのが現状だと聞きます。そのような中で、健全な森林が維持できるように 皆で知恵を出しながらふるさとの森の再生を目指していきたいと思いました。
今回もツアー参加していただきありがとうございました。そして、ツアーにご協力いただきました福島の皆様、 ありがとうございました。