2019年1月12日、福島でお世話になった菅野さんに京都にお越しいただき、餅つき交流会を行いました。避難者の方、地域の方々など30名以上が集まり楽しいひと時を過ごしました。 3升のもち米で つくお餅。子どもたちからシニ アの方まで力を合わせて餅をつき上げました。
出来上がった餅に、納豆、大根おろし、きな粉、あんこを絡め、汁に入れてお雑煮にしました。他には、いかにんじん、ひたし豆、りんごの白和え、柚子大根など、福島のお正月料理もいただきました。菅野さんの持って来られたふくしま農家の夢ワインや地元産の酒もいただきながら、参加者通し話も弾みました。
餅つきの後は、参加者全員で自己紹介をしてから、菅野さんのお話をお聞きしました。
震災直後、土壌の汚染問題に取り組み、実態調査をし検証をしてきたなかで、粘土質の土壌と腐植の多い土壌ほど放射性物質が土に固定化されることを発見し、毎年データを集めるためにも震災後も稲を育て続け農業を守ってきた菅野さん。2015年からは民宿を経営されて、多くのゲストを迎え、里山体験や飯館村のツアーをしながら、東和の良さを知っていただくとともに、原発事故のあった福島県の現状を知っていただこうと幅広く活動されてきました。
新規就農者、農業研修者、そして移住者を迎え、その新住民に刺激されて東和の地元の農家の後継者も就農す るようになったそうです。菅野さんの娘さんの瑞穂さん も「きぼうの種カンパニー」という会社を起業し、種まき、田植え、野菜作り、稲刈りなど、多くの学生や市民団体の方々に農業体験の場を提供しています。そして、2018年スタートした「マイ田んぼ」では、一般の方々や市民団体の方々が自給の田んぼ作りを始めています。「里山の風に吹かれようと東和に来てくれるんですよ。」と菅野さん。嬉しそうに語っていました。
幼少期、「外にでるな」、「何も触るな」、と言わ れ、自然に触れることができなかった地元の小学生を対象に行っている田んぼ体験。泥を触り、虫を捕まえ、自然の中で生き生きとしている子どもたちの姿を見ながら、そのような状況を作ってしまった社会のあり方を反省しつつ、持続可能な社会への転換も提言もしている菅野さん。
その取り組みを聞いて、共感される方、「今まで知らなったことがわかった。もっと勉強します」と菅野さんの本を買い求める方など、福島県の農家さんの現状を知っていただくためにも良い機会になりました。
最後に、菅野さんの吹くハーモニカに合わせて全員で「ふるさと」を歌いました。忘れ難きふるさとを思い、郷愁に駆りたてられましたが、同時に、「また、ここで頑張ろう」と、思った新年の夜の集いでした。