あたたかい食卓
夏の暑さに負けないエネルギーを与えてくれるのが肉ですね。肉と言ば、関西では「牛肉」と答える人がほとんどです。それほど関西人は牛肉が好きなのです。焼肉が夕飯のメニューになると「今日は、焼き肉!」と食べる前から、テンションが上がります。子どもたちと共に囲む食卓で、食べる量の違いを感じる昨今です。
今日は、牛肉の中でも和牛についてお話しいたします。お肉屋さんでは、和牛と国産牛と分けて販売されています。国産牛の定義は、品種や出生地にかかわらず、日本で3カ月以上肥育されたものですが、和牛は、日本独自の基準下で、畜産農家の努力により、交配、肥育した牛です。種類は、「黒毛和種」、「褐毛和牛」、「無角和牛」、「日本短角種」の4種類があります。
「黒毛和種」は、関西でご馳走として食卓に登場するお肉の品種です。ルーツは兵庫県但馬牛です。それほど体格のよい牛ではなかったのですが、肉に細かなサシが入るように選抜・育種が進み、現在では大きく育てられ、サシが綺麗に入った牛肉になっています。
「あか牛」と呼ばれる「褐(あか)毛(げ)和種」は熊本県や高知県で育てられています。褐毛は朝鮮がルーツの品種をベースに、外国の肉用種を掛け合わせたりして成立したものといわれています。熊本と高知の褐毛は、正確には系統と違う牛で味わいも違いますが、分類上は同じ褐毛和種とされています。
「短角和種」は、関東地域では取り扱われていましたが、関西では食べる機会はありませんでした。しかし、数十年前から、赤身肉ブームにおいて食べられるようになりました。「赤身がおいしい牛」として岩手県の北部、農耕や塩を内陸に運ぶために使役していた牛「南部牛」にショートホーンという外来の肉用種を掛け合わせてできたのがこの短角です。サシも入りますが赤身肉の部分が美味しいです。
「無角和種」は、日本の黒毛和種に、ヨーロッパで生まれた肉用牛であるアバディーンアンガス種を掛け合わせた品種で、その名のとおり角がない牛です。和牛品種の中で最も頭数が少なく、2012年4月の段階でおよそ200頭しか残っていない、希少品種です。山口県萩市を中心に育てられている牛肉です。同じ和牛でも肉質も味わいも違います。美味しさの違いを知りながら料理するのが美味しい料理のコツです。以下美味しさの違いをまとめますので、参考にしてみてください。
・黒毛和種といえばなんといってもサシ。甘みと香りを感じるきめ細かいサシが入り、肉まで軟らかいというのが特徴
・褐毛和種は、黒毛ほどではないにしろサシも入るし、赤身肉のうまさもほどよいバランス派
・短角和種は圧倒的に筋肉質で、赤身中心の肉。うま味たっぷりでかみしめて食べるのがおいしい
・無角和種はその血統上、黒毛のような風味もあり、大ぶりに切ったステーキに向く肉質
ちなみに、私の好きな和牛は、短角牛です。岩手県の北部、農耕や塩を内陸に運ぶために使役してい「南部牛」という。サシも入っていますが赤身の部分が美味しいお肉です。関西では、あまり手に入らない短角牛ですが、最近京都のお店で取り扱っているところを見つけました。本当に幸せの限りです。
とにかく、おいしくいただくためには、材料を理解するのが一番です。材料選びから料理が始まっているということを知っていただきたいと思います。
皆さんの家庭の食卓が、美味しさと幸せに包まれますよう願いを込めて。家庭で簡単にできる「カレーボイルローストビーフ仕立て」のご馳走の一品。
牛肉のカレーボイル
材料(4人分)
・牛肉(赤身塊り)400g・にんじん200g・玉ねぎ1個・パセリ少々・水カップ4・塩大さじ1・カレー粉大さじ2・練りがらし適量・醤油適量
調理のポイント
牛肉を切る時には、繊維に直角に切ると柔らかく食べれます。肉は茹ですぎると固くなるので気をつけましょう。
下ごしらえ
①にんじん千切り・玉ねぎ薄切り・パセリみじん切り
②鍋に、4カップの水・1の材料・塩・カレー粉入れ、茹でる。
③鍋に、4カップの水・1の材料・塩・カレー粉入れ、茹でる。泡・アクをすくい、火を止めて鍋でそのまま冷ます。
仕上げ
肉を薄く刺身状に切り、茹で野菜の水分を切り盛り付け、練りがらしと醤油を添えて食卓。
土井敏久
お料理プロデューサー
日本の家庭料理・郷土料理の地域の食生活文化向上を目指し実践研究型教育プログラムや食生活文化ビジネスのプラットフォームを主宰。店舗(CSC)展開・商品リサーチ販売・交流勉強会・提携連携会議・女性の産業雇用創造を行う。