あたたかい食事
秋なすび同様、「嫁に食わすな・・・」と言われたのが、秋に獲れる『鯖』、本鯖(マサバの別名)とごま鯖がありますが、塩焼き、煮付け、しめ鯖などで食卓に上るのは、腹が銀色に光っている、本鯖。腹に黒い斑点のあるごま鯖は、おもにさば節に加工され、おそばなどの出汁を取るのに利用されます。
本鯖は、春から夏にかけて産卵し、その後衰えた体力を回復し冬に備えるため、餌を貪欲に取るようになります。秋鯖に旨味が乗って美味しくなるのはこのため。夏には痩せて数%しかなかった脂肪分は10月・11月には20%ほどになり、身はぶりぶりとはち切れんばかりに美味しくなるのです。
良い鯖の見分け方は、
☆よく肥えているもの(1キロ前後)を選ぶ。小ぶりのものは旨みがやや落ち身もバサバサしています
☆身が固くしまっている事も大切。鯖は死ぬとすぐ硬直し、時間がたつほどに柔らかくなってしまいます
☆背が青光りして、全体にツヤがあることも、目利きのポイントです
☆腹に金色の筋が浮き出てるものは、とびきりの鮮度のしるしです
買い物中、魚屋さんで魚の目利きで楽しみ、腹に金色の筋の入った大ぶりの鯖を見かけたら、今夜のおかずは鯖です。
秋が旬の魚ですが、日本海側の鯖は、産卵前の3月〜5月の春鯖が旨いとされ、関西で珍重されます。
鯖は酢と相性よく、防腐の効果もあって、酢でしめた鯖ずしが各地であります。大阪・京都のバッテラ、奈良吉野の柿の葉ずし、土佐姿ずし、若狭のなれずし、変わったところでは、酢で煮る鳥取の煮なますなどがあります。ちなみにバッテラとは、ポルトガル語のバッテーラ、ボートの意味。3枚におろした身が、その形に似ているのが由来です。
お料理生活、魚屋に金色の筋の入った本鯖探しながらの、買い物も楽しいです。
鯖があれば本来のおいしさを味わうシンプルで贅沢な料理法は塩焼きです。
鯖の塩焼き
材料(4人分)
- 鯖上身 4切れ
- 塩
- 大根おろし 100グラム
- すだち 2個
- 紅生姜
作り方
- 鯖上身は肩に切り身を入れて、両面に塩をふる
- 熱した魚焼きあみに①の皮を下にしてのせ、火を弱めて焼き、程よく焼き目がつけば箸を網目に沿わせて身を静かに起こして外す。(この時外れにくいのは焼きがたりない)全部外して返し、火を弱めて焼いて魚に火を通す
- 器に盛り大根おろし、紅生姜を盛り添えてすだちを添え、醤油と共にすすめる
お料理プロデューサー 土井 敏久
日本の家庭料理・郷土料理の地域の食生活文化向上を目指し実
践研究型教育プログラムや食生活文化ビジネスのプラット
フォームを主宰。店舗(CSC)展開・商品リサーチ販売・交流勉強
会・提携連携会議・女性の産業雇用創造を行う。