福島原発事故から 10年 - 挑戦はまだ続く
放射能測定 安斎育郎先生の近況報告
みんなの手の活動にご協力いただいていた立命館大学名誉教授の安斎育郎先生に小年度も引き続き、福島県の自宅や自宅周りの放射線測定を行っていただきます。家の周りや畑、学校までの通学路等の放射線量を測り結果を報告していただき、改善案などの相談にも乗っていただきます。先生には2019年度に1年間コラムを連載していただいておりましたが、今月は先生の近況を伺いました。
福島原発事故から 10年 – 挑戦はまだ続く
放射線防護学者として「福島被災者支援」に取り組んで10年、私もこの4月に81歳になりましたが、調査・相談・学習活動への取り組みはまだまだ続きます。事故から10年目の2021年3月11日、私は楢葉町の浄土宗の古刹・宝鏡寺に、第30世住職の早川篤雄さんとともに、境内に「原発悔恨・伝言の碑」を建立し、その横に、「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」という平和博物館を立ち上げました。ちょうどその日、私はウィーン・ユネスコ・クラブから「地球市民賞」を受賞したのですが、長年にわたって国際平和博物館運動に貢献したことと、「福島プロジェクト」を通じて被災者支援のボランティア活動を続けてきたことなどが受賞理由でした。しゃれたことに、認小証には、授賞日「2021年3月11日」、授賞場所「福島県宝鏡寺」と書いてありました。さすがは「地球市民賞」、福島県がどこの国にあるのかも書いてありません。「国」の枠組みを超え、「地球」という一つの惑星の視点で見ているのですね。
宝鏡寺境内の「原発悔恨・伝言の碑」には。次のような私の詩が刻まれています。
「電力企業と国家の傲岸に/立ち向かって40年、力及ばず/原発は本性を剥き出し/ふるさとの過去・現在・未来を奪った/人々に伝えたい/感性を研ぎ澄まし/知恵をふりしぼり/力を結び合わせて/不条理に立ち向かう勇気を!/科学と命への限りない愛の力で!
2021年3月11日 早川篤雄・安斎育郎」
また、隣接する「伝言館」は木造2階建ての博物館で、人々が二度と核の被害に遭うことのないよう、広島・長崎の原爆被害、ビキニ水爆実験の被害、福島原発の被害について展示するとともに、「調査・相談・学習のご要請があればお申し出下さい」と呼びかけています。館長は早川篤雄住職、私と東邦大学名誉教授の桂川秀嗣さん(福島プロジェクト・メンバー)が副館長で、すでに「トリチウム汚染水の海洋放出問題」や「福井県知事による高齢原発運転容認問題」などについて館長・副館長声明を発出して抗議しています。
また、「福島プロジェクト」は、調査・相談・学習活動に加えて、福島の産品の普及活動の支援をしています。いま商品化目前に迫っているのは、浪江町で生産されたエゴマをベースにした「エゴマ・キャンドル」で、商品名は“HONOKA”。道の駅やさまざまなイベントで普及したいと考えています。HONOKAはイベントや災害時の光源・熱源としてきっと役立つと思います。
「ストップ・コロナ」のワン君の周りに、エゴマ・キャンドル勢ぞろい
というわけで、私も新型コロナ・ウィルスに感染すると重症化のリスクが高い年齢になりましたが、感染に注意しながらまだまだ福島支援を完全ボランティア活動として継続しますので、調査などのご要望があれば遠慮なくお申し付けください。