食育コラム 脳を動かす毎日の暮らし術
脳の健康を育む秘訣は、毎日の積み重ねにあります。年齢を重ねるほどに、衰える能力もありますが、知恵や判断力など、人生経験が豊富になるにつれ、伸びる機能もあります。衰えを防ぎ、伸ばせるものは伸ばしましょう。
3つの基本要素『食事・運動・睡眠』をおさえよう!
食事 よく噛み、しっかり水分補給。脳が喜ぶ栄養素をご紹介します。
①n‒3系脂肪酸 青魚・亜麻仁油・えごま油・インカインチオイルなど
背の青い魚(さば・さんま・まぐろなど)に多く含まれるEPAやDHAは、頭が良くなると話題にもなった油で、血栓予防や中性脂肪、血圧の改善から動脈硬化を予防する作用が期待できるほか、DHAは集中力を持続させる働き、認知機能の改善効果が認められ、脳が活性化されて記憶力や観察力が高くなると言われています。そして、ストレスを和らげ精神を安定させる効果もあることがわかってきました。
また、亜麻仁油やえごま油・インカインチオイルの主成分はα-リノレン酸で、体内ではつくることができず、このような食品から摂らなければならない油のひとつです。α-リノレン酸には、善玉コレステロールを増加させ、悪玉コレステロールを減らす働きがあります。そして、血管をしなやかにして血液をサラサラにし、アレルギーを抑えるなどの効果があります。※保存方法は、非常に酸化しやすいので、熱と光は極力避けて、開封後は必ず冷蔵庫へ保存。
②抗酸化 脳は身体の中で最も酸素を消費するので、その分細胞を傷つける活性酸素ができやすので、抗酸 化力の高い食材で活性酸素を消去する。 特に、ビタミンA(豚肉、うなぎ、緑黄色野菜など)・ビタ ミンE(ナッツ類、アボカド、小麦胚芽など)・ビタミンC(柑 橘類、緑黄色野菜など)・ポリフェノール(プルーン、大豆・ 大豆製品など)は抗酸化力が高い栄養素です。
③たんぱく質 やる気を出すアドレナリンや精神を安定させるセロトニンなど神経伝達物質の原料になります。また高齢者は食が細くなりがちなので、お食事をする時、まずたんぱく質の豊富な食材から食べることをオススメします。主な食材は、肉・魚・大豆・大豆製品・卵などです。
×脳が嫌う食べ方は「塩分とカロリーのとり過ぎ!」
塩分のとりすぎは血圧を上昇させて脳の血管を傷つけます。また、肥満や過食は動脈硬化を進行させて、脳血管障害の要因のひとつとも言われているので、特に飽和脂肪酸(常温で固まる油)のとり過ぎには注意しましょう。
運動 適度な運動は脳を活性化し、脳の神経細胞の成長を促します。その結果、記憶力や学習能力向上にもつながります。また、運動習慣のある人は、ない人に比べて認知機能が低下しにくいと言われてます。
睡眠 睡眠中には、疲労物質の代謝や細胞の修復など、脳のメンテナンス作業が行われてます。また記憶の定着などの働きが活発になります。良質な睡眠は、認知機能(理解力や判断力など)の低下を予防できる可能性が高いです。
!より脳を活性化するヒント
◯話す、書く、つくる。手や口を使って表現を豊かに。
◯外出や趣味、ボランティアに参加するなど、人と交流する機会を多くもつ。
◯いろいろなものに好奇心をもって、調べたり試したりする。
おすすめレシピ
~脳が喜ぶトリプルさば味噌~
〈材料〉鯖缶(水煮)1/2缶、大葉5枚、味噌50g、本みりん大さじ4、くるみ20g
〈作り方〉①大葉はみじん切りにする。くるみは炒り細かく刻んでおく。 ②鯖缶は水気を切 る。鍋に、味噌・本みりん・水気を切った鯖缶を加えて加熱し、よく混ぜながらペースト状にする。 ③大葉、くるみを加え、さっと混ぜる。
〈食べ方〉おにぎりの具、冷奴のトッピング、油揚げに塗って軽くトーストなど
布施 元子 先生 プロフィール
調理師・食育指導士・食育トレーナー・健康管理士・ 睡眠推進員
京都市北区在中。10歳男児の母。東日本大震災を体 験し『食育』の伝承【食べることは、生きること】を通 して丈夫な身体作りの活動中。