自然暮らしコラム vol2
前回に、膠原病になり、大阪の八尾市にある甲田医院で断食をしたことを書きました。甲田光雄医師の診察を受け「治るよ」と言ってくださったことが何よりもうれしく、励みになりました。私の場合は、1週間の断食と決められました。男性は1週間の断食は普通ですが、女性の場合は3日、5日など、1週間の断食は私だけでした(太っていたからかな?)。最初の3日間は5分かゆに豆腐半丁、青汁。次の3日間は豆腐や青汁なしで3分かゆのみ。そして、1週間のおすまし汁断食。その断食が終わると、また3分かゆ、そして5分かゆに、豆腐半丁、青汁の食事で終了です。それを何度も繰り返します。甲田医院はガンや難病の方ばかり20人ほどが入院されていましたが、何カ月も入院しているつわものぞろい。私のような短期の患者はいませんでした。食事以外の時間は、西式の体操をします。ただ、私は、本当によく寝ました。寝ても寝ても眠かったことが思い出されます。
毎朝、7時に甲田先生の講話が始まります。1時間の講話は、仰天のことばかりでした。「食べるよりも出すことが大事」「宿便を出す」「一日に水2ℓを飲むことが必要」「夜10時過ぎたら、免疫力はグンと下がる」など。美味しいものが大好きで、コーヒーは飲んでも水は飲まず、夜更かしばかりの毎日を反省させられました。本当に玄米や断食で難病が治るのか、その時は半信半疑でしたが、教えをしっかり実行しないと判断できませんから、人体実験のつもりでメモを取りながら日々過ごしました。
断食中は、激しい運動は控えるように言われましたが、歩くことは推奨されました。普段は空腹の苦しさをあまり感じないのですが、八尾の街中を2時間くらい歩くと、パン屋、蕎麦屋、鰻屋から流れてくる何とも言えない匂いに空腹が身にしみました。女性週刊誌などでダイエットに「プチ断食」が効果的などと、紹介されているようですが、断食すると、餓鬼状態になるわけで、断食後にガツガツ食べていることに気づかされました。案の定、断食しても体重は大して減らず、断食後には逆に体重が増えてきました。人間の食欲を制御する難しさも実感しました。しかし、1か月後の退院時には、膨れ上がり何一つできなかった両手が元に戻っていました。
最初の断食は、おすまし断食です。食事の代わりに、干しシイタケと昆布で作ったおすまし汁を飲みます。空腹感、脱力感が出ないなど、体の負担が減り、断食がスムーズにでき、失敗が少ないと言われています
1日分材料:昆布20g、干しシイタケ20g、水6カップ、醤油30g、黒砂糖または蜂蜜30g
作り方:①鍋に水、昆布、干しシイタケを入れ、約4時間おく。②加熱し、沸騰したら弱火にし、昆布を取り出し、しばらく煮出し、火を止め、シイタケを取り出し、醤油を加える。黒砂糖は汁に入れてもよいが、別に食べてもよい。
境野 米子 (さかいの こめこ) 先生
生活評論家・薬剤師
1948年 群馬県前橋市に生まれる。
千葉大学 薬学部卒。
著書は最新では「無塩の養生食」創森社(2020年)
他多数