自然暮らしコラム 食事療法は効くか効かないか
前回紹介した甲田療法ですが、他にも食事療法にはゲルソン療法やマクロビオティックなど、たくさんあります。そもそも食事で病気が治るのでしょうか?甲田療法は、断食、食べないで治す療法といえますが、ゲルソン療法は、大量のニンジンジュースと無塩食、食べて治す療法です。「どちらをしたらよいか?」と聞かれることもありますが、縁と本人の相性というしかありません。
ゲルソン療法の例として、80歳だった郷里の父の場合をあげたいと思います。肝臓がんの末期「余命2週間、長くても1カ月」と医師から告げられて入院を勧められたのに、「家で死ぬ」と医療を頑固に拒否したので、困った妹から電話で呼び出されて父を説得しました。誰もが、入院が一番良いと思えるのではないでしょうか。「治らない肝臓がん、痛みもひどくなる」など父を説得しましたが、「家で死なせてくれ」の一点張りです。ちょうど、ゲルソン食事療法について星野仁彦教授(当時は福島県立医科大学病院精神神経科助教授:自身の大腸がんをゲルソン療法で闘う)にインタビューをし、まとめた雑誌があったので、父に読んでもらいました。「お父さん、入院しないなら、この食事療法をしますよ」と納得してもらい、家にあったジューサーで大量のニンジンを絞りニンジンジュースを作りました。その時に断食は、考えもしませんでした。抱きかかえないと歩けず、顔はどす黒く、尿も真っ黒でした。本能的に、何か力になるようなものを飲ませたいと思ったのでした。80歳の父は、入院しないと決めた時から、素直にニンジンジュースは飲んでくれましたが、水や茶を飲む習慣がないこともあり、トイレに起き上がる時に必死で飲ませました。ところが、驚くことに3日目には自分で起き上がり、店(家業は薬局)に出ていきました。店が生きがいとはいえ、まさか店を開けるとは思いもしませんでしたが、「寝ていると、そのままあの世に行く気がするから、ここに置いてくれ」と店の椅子に座こむのですから、仕方がありません。めきめき元気になって、1カ月過ぎた血液検査では、腫瘍マーカが消えていると言われました。信じられないことでした。父は84歳まで店を開け続け、入浴中に心停止で亡くなりました。
ニンジンジュースの作り方
材料(約300cc) ニンジン3~4本 リンゴ1/2~1個 レモン1/4~1/2個
「作り方」
①ジューサに入る大きさにニンジンを切る。リンゴは皮をむき芯を取りジューサに入る大きさに切る。レモンは薄切りりにし、種を取る。
②ジューサに入れて搾る
境野 米子 (さかいの こめこ) 先生
生活評論家・薬剤師 1948年 群馬県前橋市に生まれる。
千葉大学 薬学部卒。
著書は最新では「無塩の養生食」創森社(2020年)
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