自然暮らしコラム 化粧品アレルギー
子供のころから肌荒れ、アレルギー体質で、ちょっとした虫刺されも腫れ上がり、いつまでも治らずにグチュグチュと膿みました。薬剤師だった母も、かぶれやすく、漆や洗剤でかぶれて寝込んでいたことを覚えています。薬屋なら、どこの店もカネボウ、コーセーなどの化粧品を置いているのに、我が家では、ガンとして置きませんでした。売る人がかぶれていたのでは、話になりませんからね。肌が荒れたら薬を塗る、かぶれたら薬を飲むが当たり前に育ってきました。
大学卒業後、勤め始めた都立衛生研究所の女性部の研修でポーラ化粧品の講習会がありました。隣室の方が女性部長だったので、頼まれて出席し、モデルになって色々とマッサージされました。おまけに最後まで残っていたのは私一人、結局買う羽目になり、当時3万の初任給なのに、2万近い大金を払いました。ところが、翌日から顔が赤くほてり膨れ上がりました。ポーラに電話をしたら、「化粧品でそんな風になることは絶対にない。皮膚の毒素が出ているところだから、使い続けてください」と言われました。不安になり、先輩がいる化粧品の研究室に行き相談したところ「絶対に使っちゃダメ。化粧品かぶれだ。使い続けたらこうなるよ」と肌が青黒くなった顔写真を数枚見せられました。化粧品で起きたアレルギーとしてメーカーを相手取って裁判をしている女性たちの顔写真でした。以来使えずに、化粧品に対する恨みは残りました。
福島に越して子育てに追われていた時期に、突然衛生研究所の元上司から電話があり、「勤めてないなら、これを調べろ」と『暮らしの安全白書』(学陽書房)という本の化粧品部門を書くことになりました。以来、化粧品について調べ始め、我が身も化粧品によるアレルギーだったとわかりました。そもそも化学物質でできている化粧品を、メーカーが消費者に知らせないで「無添加」「自然」などと、ありえないことを宣伝し販売するので、被害は私のように泣き寝入りすることになり表面化しません。まるで推理小説を書くような気持で化粧品のことを調べて本にまとめました(*)。
25年前、膠原病を治すために甲田医院で断食をしましたが(みんなの手③)以来ウソのように肌荒れが無く なりました。もちろん石鹸洗顔後は自家製の化粧 水しか使いませんし、市販の化粧品には十分注意をしています。肌荒れ、アレルギー体質も、食物で治すことができると思えているのです。
(*)
「化粧品の正しい選び方」コモンズ(1998年)
「買ってもよい化粧品、買ってはいけない化粧品」コモンズ(2000年)
「安心できる化粧品選び」岩波書店(2003年)
「肌がキレイになる化粧品選び」コモンズ(2003年)
「素肌にやさしい手づくり化粧品」創森社(2005年)
「成分表でわかる買いたい化粧品」永岡書店(2001年)
「自家製の化粧水の作り方」
①バラの花(無農薬)1gに、局方消毒用エタノール150mlを入れ、一晩置きエキスを抽出する。(しその葉、ドクダミ、ラベンダーなども)
②精製水1000mlにバラの花エキスを茶こしで漉して入れ、グリセリンを100ml加え、混ぜる。保存は3~4カ月。
境野 米子(さかいの こめこ)先生
生活評論家・薬剤師
1948年 群馬県前橋市に生まれる。
千葉大学 薬学部卒。
著書は最新では「無塩の養生食」創森社(2020年)
他多数