第6回 キャリアを考える
田中晶子
シニア産業カウンセラー/ 2級キャリアコンサルタント技能士キャリアの話6回
「今年も一年が過ぎようとしています。皆さんが今年の年頭に思い描かれたことは今、どのような状況になっていますか?私は計画したことが道半ばという感じです。今年も除夜の鐘をもって、リセットします。というわけで毎年、積み残し状態です。これも習慣になっているので特に悩まないことにしています、「心の健康を軽視していると意外なつけがまわってくる」という言葉を信じて健康ならばまあいいかという具合です。
今年は関西も災害が多くとても大変な年でした、災害から数か月経っても電車の窓から見えるブルーシートの屋根にそのときの様子を思い出します。ニュースを見る度に「災害は忘れたころにやってくる」という言葉を思い出しますが、近年、備えていても対応が難しい事態に私たちはどうすれば良いのでしょう。
労働の場もいろいろな変化がある年でした。平成29年に働き方改革が始動して日本の“ワーク・ワークバランス”がやっと、“ワーク・ライフバランス”の形になりつつあります。
働き方改革が始まった今年初め頃はこんな会話が聞かれました。「早く帰れと言われても仕事が残っているし困るよ」と電車の中のサラリーマン、「早く帰れと言われるものですから」と早く帰ることに照れ臭いのか、言い訳?する近所のご主人、「早く帰っても家ですることないし」「女房、子供にうっとうしがられる」等、中高年の男性
たちには何かしらの戸惑いがあるようでした。この制度、浸透するにはもう少し時間がかかりそうです。特に50代以降、この年代、まだちょっとワーク・ワークバランスのようです。
今日は“人生の成功”について考えてみたいと思います。皆さんも一緒に考えてみませんか。「お金持ちになったら、それだけで満足」、「出世出来たら満足」、人生の成功とは、そうではないとは思いますが、いかがでしょう?
ひとつの見方ではなくいろいろな側面があってトータルで考えて人生の幸せをつかんだ状態を“人生の成功”と言えると思います。では人生の幸せとはどういう状態かと考えると、自由であることでしょうか、自分の思い、考えを縛られることなく拡大できること。では、自由について何かと考えると「時間的な自由」サラリーマンであれば、有給休暇を取りたいときに取れる自由、自分の得意な業務を選択できる自由、他、旅行に行きたい、自分のために学習したい、など自分の時間を自由に使うことができること。
「経済的な自由」欲しいものがあるけど我慢しなければ生活に響くではなく、お金が余り過ぎて使い切れないでもなく、欲しいものがあるときに我慢せずに買える程度の自由です。
「身体的な自由」健康で体を思うように動かせる自由、足が痛い、腰が痛い、自分の身体なのに思うように動かせない時って本当に不自由です。
「精神的な自由」言いたいことが言える、束縛されないで楽しむことができる、興味のあることに挑戦してみることができる。
「時間・経済・身体」の自由を得られた後に「精神的な自由」を得られることが“人生の成功”ではないかと考えます。自分の生活の中の自由を拡大していくことが人生の成功に近づくことかもしれませんね。
以前、このシリーズのなかで人生は舞台、その時々で役割があるとお話ししました。
子育て、親の介護の最中には時間の自由が制限されるでしょうし、子供の学費がかかるときには経済的な自由が制限されるでしょう、治療中は身体的自由が制限されます。これらの制限はうまく切り抜けられれば、長い人生の中ではほんの一部の時間です。自由は復活します。人生全般で経済的・時間的・身体的自由を拡大していけば最後に精神的自由が得られ、“人生の成功”が手に入ると思います。そのためには今のこの瞬間を大事にしたいと年頭に思います。