第5回 キャリアを考える
田中晶子
シニア産業カウンセラー/ 2級キャリアコンサルタント技能士キャリアの話5回目
「モチベーションを高く持って仕事をするように」と社長は言い残して会議を終えました。社員達は小さな声で「どうやってモチベーションを上げたらいいの?」と言い合っていました。“モチベーション”とは私達が良く使う言葉ですが一般的には「がんばるぞ」というこころの状態とでも言ったら良いのでしょうか。とは言っても具体的に何をどうすれば良いのか判りにくい感じがします。参考までにモチベーションの定義は「ある目標に向かって行動を起こして、維持しようとする心の働きの総称、動機付けも同じ意味として用いられます。直接観察することは出来ませんが、人が目標を目指して行動する背後にある、内的なエネルギーと言えます。(石橋里美)」先ほどの社長の挨拶は具体的な目標への動機付が社員の皆さんに伝わらず、内的エネルギーを動かすまでには至らなかったようです。
職場におけるモチベーションを“ワーク・モチベーション”と言います。
ワーク・モチベーションの定義は「個人、又は個人の存在を超えたところに生じる、ある種のエネルギーであり、仕事に関連する行動を引き起こし、その形態、方向、強さ、継続性を決定する(Pinder)」とされます。
言い換えれば、ワーク・モチベーションとは仕事へのやる気、意欲、情熱、向上心、熱意を仕事の場面でどのように出し、維持し続けるのかと言うことでしょう。
では、私達は自分のモチベーションをいつも高く持ち続けるにはどのようにしたら良いのでしょうか?他人から見るといつもモチベーションが高い人とそうでない人がいます。
ここも、高い、低いとは何をもって言えるのでしょう。モチベーションには3つのエネルギー要素があります。行動を起こそうとする、喚起要素、行動を方向付ける、方向性要素、目標達成までどの程度、行動を持続、継続するのかを決定する、持続要素です。ある目標に刺激を受けて、やる気を出し、目標達成に向かって、具体的行動を選び、目標を達成するまでその行動を継続するという流れです。
自分のモチベーションを高めるには「将来、自分はどのようになりたいのか」イメージして、自分に効果のある「やる気」の高め方、維持の仕方を見つけ実施することと言えます。モチベーションを高く持つことは出来ても持ち続けるのは大変!と思ってしまいます。
私達はいつも、いつもやる気満々で仕事をしている訳ではないですし、時には仕事を投げ出したいこともあるでしょう。「あ~辞めたい」と叫びながら翌日は仕事をしている私がいます。自分のモチベーションを上げるためにこんな質問を自問してみてください。
・私はどんな時に頑張れたり、やる気になったりするだろう。
・私が調子が良く取り組めている、やる気になっている、楽しいと感じている時はどのような場面で何が起きている時だろうか。
答えの中から皆さんの“やる気”の素が沢山見つかる良いと思います。
どの場面でどんなやる気の素を使うかは自由です。ワクワク感を味わえると良いですね。
いつも歩く見慣れた道をいつもと違う曲がり角を曲がってみると景色が違って見えたりします。いつも使っている机を整理すると仕事がスムーズになったり、ルーティンな仕事を順番を入れ替えたり、今日一日の出来事でふとした気づきを他人に話したり・・と
小さなことでもモチベーションをあげることは可能だと思います。
でも、誰とも話したくないとき、ひとりで静かにしていたいとき、早く寝てしまいたい時も私達のモチベーションを維持する為にはとても大切なことと思っています。
スポーツ選手が試合前に一旦、気持ちを静めてからテンションを高める音楽を聴き、試合に臨むとモチベーションが上がるメンタルタレーニングがあるようです。