本多先生の「子育て&自分育て」コラム2
梅雨の時期なのに,今日の福島は30度を超える暑さです。
私が福島に嫁いだ頃は,この時期にはこたつやファンヒーターを出していました。年月が経つと気候だけでなく様々なことが変化します。同じ場所に住んでいても生活状況が変わるのですから,住む場所が変わると,言葉(方言)だけでなく,生活の慣習や価値観,文化まで変わります。
私は出生後,大阪で暮らしていましたが,大学進学後,仙台で暮らすことになりました。関西弁が私の生活言語でしたので,仙台移住後も関西弁で話していました。しかし,話をしていると,「えっ,どういう意味?」「関西人っておかしいよね」と,不思議がられたり否定されたりすることが多くありました。大阪在住時には全く感じなかった違和感を痛感し,自分に対する肯定感を低下させました。私自身は何も変わらなかったのですが,環境が変わり,関わる人が変わったことによって,困ったり悩んだりすることが多くなりました。そして,それらが絡み合うことによって自分に対する評価点が低下し,その場で生活することさえ辛く苦しくなってしまいました。
東日本大震災後,不登校や登校しぶり,引きこもりの子どもたちが増加しています。「僕なんていないほうがいい!」「私なんて生まれてこなきゃよかった!」と話す子どもたちも増えてきています。この子どもたちに共通することは,肯定感を低下させ,人と関わることが苦しくなったり自分の存在を否定したりしているということです。大きな環境の変化によって新たな居場所を見つけることができず,自己肯定感を低下させることにより,「生きていても仕方がない」「生きている価値がない」と自分の存在価値を感じることができなくなるのです。子どもの成長過程の中で,このような状況は最も辛い状況であり,決してあってはならないことだと思っています。
ところが,家庭環境に起因する場合があります。子どもが何かをしようとした時に否定したり怒鳴ったりしてばかりいると,子どもは肯定感を低下させ,何かに取り組もうという意欲を失ってしまうのです。
子どもの将来を考えると親が子どもを叱ることはとても大切なことです。しかし,怒ることは極力避けていきたいものです。
次回は「叱る」ことと「怒る」ことの違いについてお話したいと思います。