新コラム寄稿者&新料理教室主宰者インタビュー
西山「お父様(土井勝さん)とお母様が料理研究家と言う事ですがおうちでは食についてどのようなことを学んできましたか」
土井「父は、料理研究家、母は、家庭料理研究家でした。但し、私の印象では、料理学校の校長先生と副校長先生で、お料理の先生という感じでした。料理学校はプロを養成する学校ではなく、家族のために作る家庭料理の学校でしたね。自分にとって、食事とは、ごはんが主食で、食卓には旬の食材のおかずや常備菜といろいろな副菜があったので、ご馳走とは、主菜がわからない、毎日飽きないものだと思ってきました」
西山「土井先生の肩書きはお料理プロデューサーと伺いました。その肩書きにこだわりがあるとお聞きしましたが」
土井「命というものの意味合いが希薄になって、テレビでも料理の先生がお肉とかお野菜の「お」をつけなくなったんですよ 。料理番組を見ていても「お肉」ではなく「肉」、「お野菜」でなくて「野菜」と呼ぶわけですよ。でも「お」には意味があ るじゃないですか。食材に対して、生産者さんに対しての感謝、そして料理をしてくださる方への感謝の気持ちです。私は、プロデューサーとして仕事をする上で、お料理に対してのリスペクトや感謝を表現しようと思いまして、“お”にこだわり“お料理プロデューサーと名乗ることにしたのです」
西山「それはすごいこだわりですね。料理研究家のおうちに生まれ育ち、お料理プロデューサーをされている土井さんにとって食べることって何ですか」
土井「食べること=楽しむことです。食べることというのは、実は楽しんでやらないとダメなんです。例えば栄養検査をきっちりとしたプロの職人のいろんなこだわりが詰まったお料理が出てきても、難しい話をされては美味しくないですよね。家庭料理を吟味することは大切です。でも、健康にもなるからといやいや食べたらダメです。食べることを楽しみながら食べてコミュニケーションが取れること、それが大切なんですよね。親子間でも仕事場も。昔だったら飲み会を開いてコミュニケーションを取ろうという上司の計らいがありましたけど、残念なことに今はそんなことがほとんどないですね」
西山「話は変わりますが、昨年から新型コロナウイルスに関して土井さんの見解は?」
土井「自分の体には菌も雑菌もいるわけですし共存しているでしょう。これまで世界では人類の共存に重きをおいていましたが、これからの共存を考えるに人間、自然や動物、菌もウイルスも、、、もっと大きな視点で考えなければならないと思います。これまで自然と共存してきた日本にはたくさんのヒントがあるはずだと思います」
西山「確かに。菌を上手に取り入れているのが日本食ですものね。では、ポストコロナに期待する点はなんですか?」
土井「皆さんが外食の代わりにおうちで家庭料理を作るようになられて、それがもっと進化し、突き詰めて家庭で出汁を取ったりとか基本的な家庭料理をしたりして、もっとおいしいものが食べるようになれるようになるのでは思っています」
西山「なるほど家庭料理の質の向上ですね。たまには外食もしたいですが。さてさて、来月からどのような記事を投稿していただけるのでしょうか?」
土井「四季のある国、日本で、各地域の風土の手づくりの味があります。その日本の味と自然と共存できる暮らしや人々の暮らしぶりについて紹介いたします。私のコラムをお読みになり食生活文化を楽しめるヒントになればいいと思っています」
西山「それは楽しみです。それから毎月1回みんなの手の夕食会で行われる季節の料理教室「暮らしの味わい講座」ではどのようなことを教えていただけますか?」
土井「毎月テーマ食材を決めて、その食材と数種類のおかずの献立の作り方を紹介し、皆さんで試食していただきたいと思っています。テキストもお渡ししますので、自宅でも手軽に簡単に作っていただけると思います」
西山「これから1年間よろしくお願いします」
土井敏久
お料理プロデューサー
日本の家庭料理・郷土料理の地域の食生活文化向上を目指し実践研究型教育プログラムや食生活文化ビジネスのプラットフォームを主宰。店舗(CSC)展開・商品リサーチ販売・交流勉強会・提携連携会議・女性の産業雇用創造を行う。