本多先生の「子育て&自分育て」コラム1
「東日本大震災がおきていなければ,京都で暮らすことにはならなかったのに…」避難をされている皆さんなら,少なくとも一度はそう思われたのではないでしょうか?
今はどのようなお気持ちですか?
答えは,一人ひとり違ってくると思います。「どうして6年間もこんな生活を送らなくちゃいけないんだろう」「このまま京都にいたほうがいいのかな」「このまま京都にいようかな」「京都で生活することができて良かった」等々。
この6年間,たくさん困って,たくさん苦しんで,たくさん悩まれたと思います。その中で,いろいろなことを選択しながら今日まで踏ん張ってこられたのではないでしょうか?
もう30年以上も前になりますが,大阪で暮らしていた私は,大学進学をきっかけに仙台で暮らすことになりました。若気(わかげ)の至(いた)りでどこに行っても何とかなると呑気(のんき)に構えていたのですが,何ともなりませんでした。下宿先のおばさんの仙台弁は聞き取れないし,今まで当たり前のようにしゃべっていた関西弁でしゃべると不思議そうな顔をされるし…。関西人特有のボケとツッコミを披露すると,笑いをとるどころか怪訝(けげん)そうな顔をされたり「何を言ってるの?」と批判されたり…。数ヶ月後には,思ったことが言葉にならなくなり,いつの間にか言葉を発することが怖くなっていました。
生活環境が変わったことにより,今まで通用していたことが通用しなくなったり否定されたりするのです。苦しかったです。相手に悪気はなかったのでしょうが,私の肯定感はどんどん低下していきました。「仙台に来なければこんなことにはならなかったのに…」そう思い続けました。
被災により避難をされている皆さんの状況と私の状況は大きく異なります。でも,共有できる部分もあるような気がしています。
続きは次回のお便りで…。